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冷静と失禁の間

アンハッピーセットのオマケは幸せな夢を孕むのか?

あれは、これは、こうなったのも、お前のせいだお前のせいだと言ってしまうが、お前のおかげだな、くらいの気持ちの余裕がふんわりと支配してくれたらな、と思う。

自販機アフター

小説

「もう、お前とはセックスはできない」

「どうしてよ!昔はあんなに激しく私を求めてきたくせに!」

「お前に射精すると、自販機みたいにすぐに子供が出てきちゃうからだ」

泣きながら叫ぶ女の姿は、男をそそる仕草に値していたようです。勘のいい女は、それに気づき、男のズボンのふっくらとしている山を指先でなぞって、「ほら、こんなに……」と男の耳元で囁きました。

「だめだ」

「どうしてよ、ゴムをすればいいじゃない」

「俺はもともと生派だ。セックスは生でしかしたくない」

「じゃあ今までみたいに生でしましょうよ」

「だめだ、子供ができる」

女は矛盾に気付いて、突然、わっと泣き出しました。女はいつだって覚悟ができていて、男は永遠に母にはなれなかったからです。126人の女の子供が駆け寄って女を囲んで慰めると、女は決心して、男の家から出ていきました。

126人の子供の名前を一人ずつ呼んで、126人の子供を連れて。 

 

自販機セックス

小説

どうやら、あの町の女の子は誰とでもセックスをしてしまう子らしい。そんな噂を隣の町から聞き付けた男がセックスのために女の子に会いに行きました。

男が女の子と約束を取り付け、待ち合わせ場所に向かうと、ビックリするほど美しい女の子が、ビックリするほど若くて美しい運転手の運転する車から下りてきました。

「初めまして、わたしは……」

白い髪、色素の薄い瞳、同じ人間とは思えない顔の作り、細くておれそうな体だけれど、胸の辺りで大きなカーブを描いていました。白いワンピースからは下着をつけていないのが透けてわかりました。

女の子が挨拶をするとすぐに男は我慢できなくなり、さっきまで女の子が乗っていた車の中に引っ張ってのし掛かるように押し倒しました。しかし、女の子は抵抗するわけでもなく、あっさりと体のなかに放たれた精を受け止めました。ぜえはあはあ、と男が息を切らしていると、女の子は何もなかったかのように、こんこんと咳払いをしてから喋り始めました。

「わたしは、宇宙人です。そしてこちらの運転手が私の息子です。」

男はもう一度運転手の顔をよく見ると、まだほんの10歳くらいの男の子であると気づきました。

「失礼ですが、旦那さんは……?」と、男が尋ねると、女の子はにっこりと笑って「あなただって私の旦那さんになったじゃないですか」と返事をしました。

「そんな!ただセックスをしただけですよ!結婚なんか……」

「セックスをしたじゃないですか。ねぇ、ほら、みてもう産まれたわよ」

そう言って女の子は股からするりと子供の頭を掴んで腹から引き出しました。勢いよく引っ張り出した弾みで、どろりとした血がピチャピチャと音をたてて、出てきた赤ん坊の体にベッタリと塗りたくられていました。

「旦那さんは、僕より前の、その運転手さんのパパはどこへ行ったんですか」

「彼は宇宙初外国人旦那として宇宙国へ連れて帰りました。この子は運転手ですが、一応さっき産んだ子です。あなたがくる10分前くらいかな」

「どういうことですか」

「私たちは宇宙人です。人間とは生きてる速度が違います。わたしの子宮に、宇宙国特製のスピードアップ機能を搭載しています。つまり、男が射精したらすぐに受精、赤ちゃんが出来てポロリと出てくるわけです。人間界でいうとおそらくお金をいれてからの飲み物を出す自販機の速度です。そして成長もすぐです。その子は産まれたばかりですが肉体はあと10分で10歳になります」

「そ、そんな、何のために……」

「セックスで侵略しようとすれば簡単です、日本くらいなら。わたしはこの後も男性との約束がありますので、失礼します。あなたももう私との宇宙国にある家に帰ってください。今日から宇宙国があなたの帰る家です、ダーリン。チュッ」 

そういって女の子は車から下りて、真っ白なワンピースの足元を真っ赤にしてフラフラとどこかへ歩いていってしまいました。

男の腕の中で、真っ赤な自分の赤子がすやすやと眠っていました。

そして、男と車に残された運転手はいつの間にか美しい青年に成長していました。男はその成長ぶりに安心して自分の家の最寄り駅の名前を運転手に伝えました。しかし、いくら待っても車は動き出しません。それどころか、運転手は首を傾げて、子供のような表情で「おぎゃあ」と言うだけでした。すると、男の腕の中にいる子は返事をするかのように「おぎゃおぎゃぎゃ」といいました。

 

 

不眠

自転車が、こぎ続けないとバランスを失って倒れてしまうみたいに、頭のなかが絶えず動いていてざわざわする、頭は視線を探そうとするし、人の気配を読み取ろうとする、ひどい耳なりが響いて、自分の体温で熱をもち始める布団の煩わしさに発狂してしまいそうになる。でも4時くらいに眠りにはいると深く眠れないので、どうせ悪夢を見ることになる。今朝の夢はひどかった、記述するとまた同じ夢を見てしまうのでここにはかかないでおく、悪い夢や思いでは、何度思い出しても悪いままだよ。

『溺れるナイフ』感想

感想 映画


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溺れるナイフ』は、いろんな人に、原作の漫画をおされたのに未だに読めてなくて、それが悔しくて今回は映画公開してすぐにみようと思ってました。

 

レビューを事前に検索すると、10代の恋愛らしさ、との感想があったけど正にそれで、物凄いスピードと勢いがあった。あらさといってしまうと、確かにあらいとおもってしまうけれど。今日明日の些細な出来事でコロコロと展開が変わりがちな学生時代を送っていたので、毎日を駆け抜けていくような感覚は10代のときに、わたしが苦しめられていたものと凄く似ていた。夏芽が、コウちゃんに、惹かれて、時には振り回されて、掻き乱されていく気持ちを、映画を通して体験させられている気がした。めちゃくちゃだ!と思いながら最後まで目が離せない……。論理的に考えられなくなったり、癖になるくらい引っ掻き回されるのは、もう20すぎると、大人気ないとも言われたりするし、必要以上の冷静さが襲ってきたりするので、滅多に無いはず。

 

みた人はきっと、原作を読まなければ!とならずにはいられなくなります。(原作を先に読んでいる人とは、たぶん感想が違うかと思われます)感情は伝わっても、キャラクター同士の細かい人間関係を読み取るのはかなり困難だったかも。

山戸監督の作品は、台詞が独特だと聞いていたのでちょっと構えていたのですが、あるシーンで本当に振り回されるような感覚を味わえたので、その激しさが山戸監督のオリジナル作品にもあるのか気になりました。旧作がみたい。

たまたま寝た女の子

たまたま寝た女の子にはきっと生活があった。それは一体、どんな生活なのだろう。想像してみようと、ぼくは彼女の茶髪に鼻を近付けた。細い毛先がいたずらにぼくの肌を擽る。ほのかに、ふんわりと、バターの香りがした。彼女の髪を、ほどよく油っぽく、また、しっとりと重く、艶やかに仕上げていることに間違いなかった。きっと幸せな生活があるに違いないと確信して、ぼくは彼女の首筋のあたりで、深く、深く、深呼吸をした。