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冷静と失禁の間

アンハッピーセットのオマケは幸せな夢を孕むのか?

君と彼女と彼女の恋。 完全にネタバレ感想・解釈

感想 エロゲ

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君と彼女と彼女の恋。

よくもまあ、こんな残酷なタイトルを付けられるなあと思う。

ニトロプラスのPCゲーム作品である『君と彼女と彼女の恋。』をプレイしたので、感想書きたいと思います。ネタバレ全開の感想なのでこれからプレイする予定のある方はブラウザのバックボタンでも押してください。

この作品をわからない方にも、できる限りわかりやすく説明したいと思います。(無理でした)であくまでも感想なので個人の解釈です。

では、このまま書き進めます。

 

 

 

 

 

 

ニトロプラスの作品を何作かプレイした方はすでに作風をご存知かと思いますが、シナリオ重視の作品が多いと思われます。

しかしながら今作品は違います。

この作品はキャラゲーです。それも、究極の。

シナリオ重視だ、という声も耳にするけど、これはキャラゲーに含まれると思う。

情報公開された当初は王道の恋愛もののように伺えるタイトル、フライヤー、キャッチコピーは少しニトロ作品を楽しみにしているユーザーからは王道の純愛もの地雷ではないかという声がある一方、いやニトロだからグロという要素が…という声、両方あったり。

まあ実際は両方含んだ作品だったわけですが。

前半のストーリー展開はいたって普通。

物語の主人公が、ヒロインに恋をする。

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ヒロインは二人、幼馴染(左)とクラスで少し浮いた電波の女の子(右)。

 

と、登場するヒロインが二人とわかったところで、みなさんはどういう考えを巡らせるでしょうか。まず、序盤の、自己紹介じみたキャラクターの個性を掘り下げていくようなストーリー展開を通して、どちらを優先的に攻略するか考えますよね。もちろん、中には大事な物は最後まで取っておく、というばかりに好きなヒロインは最後に攻略する方もいるかもしれません。

ここで、私たちは二人いるヒロインに順番をつけ、どちらを先に攻略するかを考えましたよね。

 

では、どちらかだけを攻略するという選択肢はそこにありましたか?

 

無いはずです。

それは、この作品があくまでも美少女ゲームだからです。ゲームだから選択肢が表示されるたびに『セーブ』し、間違ったら『ロード』。この作業を繰り返して、出てくるヒロインすべてを攻略しようとするはずです。だって、6708円(Amazon通常版価格)も払ったんですからね。網羅したいですよね。

 

現実で同じことが出来るでしょうか。

 

たぶん、無理ですね。あなたが浮気しても平気だという感覚をお持ちなら可能でしょうが、一般的には、一人の人間と付き合うと決めて恋人を作ったならば、二人目の恋人は作らないはずです。

そして、『セーブ』と『ロード』は現実世界では存在しません。一度選択してしまったなら、その選択に対して私たちは責任を負い続けなければなりません。たとえ、誤った選択をしてしまってもその選択をしたのは、ほかの誰でもない自分です。同じことを二度と繰り返さないように、と肝に銘じて、次に活かす他ありません。

だって、人生は一本道のクソゲーだから。

いつだって人生は選択の繰り返しで、正しい選択肢を常に選択し続けることは基本的には不可能です。でも失敗を何度か繰り返すことによって、徐々に失敗の数を減らすことは誰にでも可能です。でも、間違いの減らし方は自分で学ぶしかありません。人生に攻略本はないから、いつ失敗するかわからない恐怖を味わいながらも用心深くいきてくしかないんです。

だって、人生は一本道のクソゲーだから。

でもゲームは違う。

『セーブ』や『ロード』がある。だから、常に正しい選択をすることが可能な世界で、攻略本をみながら『チート』することだってできる。慎重に、注意深くなる必要性はどこにもなくて、その世界のすべてを安易に手にすることが出来る。すべてのシナリオを100%網羅することが出来る。

  • セーブ
  • ロード
  • チート

の3つ駆使することによって。

 

この作品はゲームであり、美少女ゲームですから、買っているユーザーは話目当てであってもエッチシーンをオナニーのオカズにする人が多いわけで。

体験版が出てすぐにチートコードというものが公開されました。

『080-9184-6920』

が、チートコードです。これを入力すると『君と彼女と彼女の恋。』は攻略完了、この作品の中の世界を網羅することができます。網羅、というのはここではCG100%、エッチシーンもすべてシーンリプレイができる状態のことです。このチートを行った瞬間、この作品の世界はゲームとなります。ゲームとなったこの作品はストーリー展開をすることなく終息します。オカズとして使用したいユーザーにとっては大満足ですよね。余計なストーリーは見ないでエッチシーンをみれますから。そういったユーザーをチートコードを公開する形で排除したのはビックリしました。売上にかなり影響したんじゃないかなあと思う。ちなみに、わたしもチートコード入力した。もちろん女性なのでエッチシーン目的ではなく、純粋にどうなるか気になったから。製品は買ったりすればどうにかなるしね。

 

で、肝心の話の内容の感想ですが、面白くなかったので省略します。

あんまり意味を成してないんじゃないか。というか、ここが面白くなければまずキャラクターに感情移入できないはずなのに、どうしてここで手を抜いたんだ、ニトロプラス。とりあえず、ユーザーであるわたしは、ゲームを、セーブロード駆使して攻略サイトみつつ進めていきました。一人目は

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彼女を。

攻略して、EDをみて、ふーんといった感じ。美雪ちゃんはシナリオの中でとにかく『永遠の愛』を主張してたなあ。そんくらいの印象しかない。ちなみに外見ではアオイのが好きです。全然関係な話ですが、じょまっくすさんと電話で直接話したときに、アオイ派なんですよ~と話したら美雪派がめちゃくちゃ多かったらしくすごい喜んでいらっしゃいました!じょいまっくすさんもアオイ派らしいです。

 一人の√が終わって、二人目いこうか!ってなる。ゲームだから。

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二人目は彼女を。作中の始めから、メインヒロインは美雪と何度も告げ、サブヒロインは自分であると主張するアオイ。

アオイが言うには、自分は美少女ゲームにおける美少女キャラクターの概念だそう。つまり、何作品かプレイしている人にとっては、自分が攻略した

彼女や

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彼女や

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彼女なんかも

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アオイにそれぞれのキャラクターの外見が与えられて変化した姿というわけになります。(たぶん)

アオイは美少女ゲームでイベントシーンを回収しないと生きていけない存在(そりゃね)なので、主人公以外と寝ます。(ショッキング)

自分以外と寝てもいいという覚悟を決めてアオイという概念的存在を受け入れた主人公。ハッピーエンドを迎えられるかと思いきや…

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出、出~~~~~~~~wwww血塗バット奴~~~~~~~~wwwww 

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セーブ、ロードを繰り返すのがゲームであるのに、この作品の世界ではそれが通用せず、といっても通用しないのはヒロインに対してだけだが、ゲームという概念を指摘してくる美雪。一週目で(周回プレイされることがわかってたのに永遠の愛を信じていた=プレイヤーがゲーム上であっても美雪を選んだことを本気で信用していた)自分を選んだのになぜ二週目を迎えて連続で自分を選ばずに、アオイを選んだのか責めてくる。個人的にはここでヤンデレと化すよりは、自分は美少女ゲームの存在であるから周回プレイの存在を認知しながらもプレイヤーを信じているからもう一人いるヒロインを選んでほしくないと悲しんで、はっきり言ってくれたらいいのにと思う。

まあでもそういう展開になってしまうと、面白みに欠けるのでヤンデレにならざるを得ないヒロインの存在。そこは演出らしく、待ってましたとばかりに画面を血まみれにしてゲーム上の主人公とヒロインほかをぶち殺す。

次の瞬間、ヒロインによる『世界(ゲーム)』の改変が起きる。

 

『君(プレイヤー)と、彼女(美雪)と、彼女(アオイ)の恋。』

が、解釈的には正しいのかなあ。でも、改変した美雪にとっては、
『君(プレイヤー)と、彼女(美雪)と、彼女(美雪)の恋。』

なのかもしれないと思うとちょっとウッとくるものがある。

『君(プレイヤー)と、彼女(美雪)と、君(プレイヤー)の恋。』

じゃないから、あくまでも彼女(美雪)の一方的な恋という意味合いが含まれているような気がしてしまって、ちょっと悲しい。プレイしている側、マウスをクリックなどをして会話を繰り広げていくのはプレイヤーであるから、あくまでもプレイヤーが主導権を握る世界なのに、タイトルは『君の恋』ではなく、美雪の恋。つまり、二次元の、モニターの中の登場人物の『恋』に収められてしまっているわけだ。

中盤の改変の展開を迎えると、美雪に監禁され何度も同じ会話を繰り返すことになる。

ちょっと攻略がここは厄介だった。というかストレスがたまった。全体を通して言えることだけど、キャラクターに重きを置いているので、ここまでの時点で美雪に少しでも思い入れがないとキツイ以外の何物でもない。ストーリーを重視するプレイヤーにとっては、ヒロインのワガママな『恋』につき合わされ振り回されなきゃいけないため、話が全く展開しない状態に相当な苛立ちを覚えるはずだ。というか、わたしは今現在相当な苛立ちを覚えている。

攻略のコツは、アオイを彷彿させる選択肢をすべて回避すること。たとえば、キグルミや、ピン止めが二個あることや、ネコのことなど。

こうしてアオイをの話題を避け続け、二時間近く同じ会話をし続けるとようやくループ脱出の兆しが。

アオイをこの世界の登場人物に戻すために、電話をかける。その番号はプレイヤーによってすべて異なる。

『99992732253-製品付属用紙の数値(8桁のもので、通常版を持ってる人はユーザーサポートの紙の右端にあるキーコード)+あなたが美雪に膣内射精した数字』

迎えた終盤、プレイヤーに選択肢が与えられる。

この『世界(ゲーム)』を、どちらの『彼女の恋』にするか。

選んだヒロインとの『恋』を『世界(ゲーム)』の中で完結させ、終了。セーブはできない。選ばれたヒロインの恋物語になるから、選ばれなかった方はこの『世界(ゲーム)』から消えることになる。

 

 

ここから先の展開はプレイヤーによって違うけど、わたし(プレイヤー)は『美雪』を選びました。

美雪は『美雪の恋』となった世界で、存在しないアオイに対して涙を流す。うれし涙だと形容するけど、アオイに対する思いはあったのだとちょっとわたしも安心した。屋上の最初のシーンに戻って、告白してキスをして、エンディングを迎える。

消えてしまったアオイという存在に対する罪悪感、人生によくあるような選択をして、アオイとの結末という失った未来の可能性に対する罪悪感を抱きながらこの作品の中の世界は永遠のハッピーエンドという形でピリオドを打つ。

 

おしまい。

 

 

話しておいてあれだけど、エンディングはちょっとあっけないんじゃないかな、とも思う。

まず、セコイ展開すぎる。

これだけ美雪の思い出を語らせておいて、どうやってアオイを選ぶんや…と思った。全体的なボリューム不足を感じる。ていうか、美雪もあくまでもキャラクターなんだから一応アオイではあるのではないかとも思ったけど、もしかしたらテキストをほとんど読み飛ばしたせいでそこらへんの設定をきちんと理解していないかもしれないのであまり言及しないでおくね。墓穴掘るから。

ここまでキャラクター重視のゲームにするのなら、(しかもどちらかしか攻略できない状態にさせるのなら)なんでそれぞれのキャラクターに思い入れが湧くように作らないのか。均等であるべきじゃないかなそこは。どうしても美雪に力が入ってしまっている。まあそこは差を強めないとゲームの印象がつかないからしょうがないんだろうけど、なんにせよ、美雪が好きになれないと全部意味をなさない設定じゃないかなあ。

設定そのものは面白いと思う、アオイが美少女ゲームの登場人物の概念(キャラの集合体?)であることも結構面白い。でも、こういった概念を取り扱った作品は案外探せばあるもので、美少女ゲームにたまたまそれがなかっただけだと思うから新鮮味があったんだと思う。美少女ゲームであえてこの設定を選んだのが一番うまいと思う所だけど。

あと、プレイヤーによって美雪の趣味が異なること。めちゃくちゃここが厄介だったせいで、10問連続正解するのに1時間以上かかった…。スキップしてたから全然思い出せなくて苦労した。けど、幾通りもの美雪の中から、選ばれたたった一人の美雪なのだ。ここは苦労して当然なのかな。

選択肢をクリックすることで、作品上の主人公でなくプレイヤーが読み進めていることを証明している点も結構面白い。

ラストシーンで美雪がいい奴(アオイのこと撲殺しておいて)なのが安心した。完全に狂気に飲み込まれず、いや、あれでも十分狂気だと思うけど、美雪のもとの性格が完璧な狂気に至らせないでいたのが個人的な美雪を選んだ理由かなあ。凄く悲しかったのが、美雪が主人公を好きにならないと幸せなエンディングを迎えられないから主人公に執着しまくったという点。これは悲しい。まあプレイヤーという個を見られないのだからしょうがないんだろうけど、次は、プレイヤーである私たちの個をきちんとヒロインが見てくれて、最後にヒロインからプレイヤーが選ばれるゲームがしたいなあ。これがそういうシステムだったら面白いんだけど、それこそ本当に人を選びそうだ。

バックアップがとってないので、やり直すならアンインストールしてからになっちゃうけど、わたしはアオイ√をみようとはあんまり思わない。疲れたって言うのもある。しかし、このゲームをプレイして得る罪悪感が、作品の一番の醍醐味なんじゃないかという理由が一番。そして、美雪とアオイを本当に愛しているなら、アンインストールしてやり直す行動が、彼女たちに対する冒涜であることは、この作品を最初から最後まで通してプレイしたユーザーが一番よく分かってるんじゃないでしょうか。

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プレイして、あなたが『選択』することで成立する恋物語というちょっと変わった美少女ゲームでした。

※総プレイ時間は10時間ほどでした。