冷静と失禁のあいだ

死ぬまで踊り続けるマグロさんの話

Let there be dark

授業を受けていても苦痛だ。
いや、苦痛と感じている暇があるのならノートでも取るべきなのは知っているし、実際にこまめにノートはとっている。
先週から昨日辺りくらいまではなかなか調子が良かったので、反動で欝が酷くなってしまったのか、物事が頭にさっぱり入ってこないし言語を理解するのが厳しくなってきた。
大学には休まないように通い、授業にも出る。だけど、聞くことができない。何も得てない。無だ。何をしに来ているのかわからない。普通のことができないのは、異常だ。

授業に出る、わたしはカバンの中から本を取り出す。『エミリーザストレンジ』、アメリカンコミックの類だ。
エミリーという名前を持った少女の話、コレ以外の説明のしようがない。

エミリーはクレイジーだと思う。
「Is Emily angry?or has gone completely MAD?」
エミリーが学校に通っている描写は一切ない。だけど恐らく容姿から、何も恐れない行動から、好奇心から、幼い事はわかる。公式では13歳だそう。(不吉な数字だ)
エミリーは人間の女の子で、子供のまま、自分勝手に振舞う。誰にも従わないし、我が儘そのものだ。物も破壊する、ついでにルールブレイカーだ。なのに、ハートブレイカーでもある。
エミリーの身勝手さが羨ましい。
『エミリーザストレンジ』において最も魅力的なのはもちろんエミリーの存在や行動だ。エミリーは好きなときに好きなことをする。羨ましい、わたし達にはそんなこと出来ない、ルールブレイカーにはなれない。社会に囚われているし。だって、そうしないと、マッド、クレイジーと呼ばれる。常識から外れた人間を社会は追放しようとするし、容赦なく異常者のレッテルを貼ってくる。
しかし、エミリーは純粋に好奇心を追求するし、自由である。彼女は読者から見たら、当然の如く、ストレンジだ。
子供だから許されるとかではなく、「エミリーだから許される」気がして、彼女に憧れを抱いてしまう。
エミリーは暗闇が大好きだ。
お気に入りは黒いワンピース。
エミリーには何も見えてないのだろうか。
それはきっと違って、なんでも見えていても何も見えていないふりをしているのだろう。
暗闇は人間を一人にする。
より深い暗闇の中にいるとき、自分以外の存在を確認することはきっと難しい。
部屋を暗くするだけで、わたしは少しだけ「エミリー」になることが出来る気がして、家に着くとわたしは布団を被って、眠りについた。