冷静と失禁のあいだ

死ぬまで踊り続けるマグロさんの話

私が持っている道はとても狭い、私が歩いているところは近道でも遠回りでもない。
私が歩いているところは、他の誰かが歩いていたところなのかわたしはまだ知らない、知らないけどこの道を選んだ。道はわたしに選ばれて道となったのかもしれない。

人、一人通るのがギリギリなくらいの道だから、わたしは決して誰かとすれ違うことはできない。人と人との距離が広がらないように、追い付けるように、見えなくなる前に必死に、前方にいるかもしれないその人を追うだけ。わたしはすっかり、どこを歩いているのか忘れてしまう。

隙間の道を作る建物は、高い高い壁なのか、近くの人の笑い声すら聞こえない。でもわたしはどこかであたたかさをしっかりと感じ取っている。

頼りになるのは、しっかりからはほど遠い不確かなあたたかさだけ。
わたしは後ろを見てどれくらい自分が進んでいるかを確認してしまいそうになる。
それでもはっきりと、朝がやって来て、やがて昼になり、夜を追いかけて星が次第に散らばっていくのを脳に焼き付けながら経過を確認する。

わたしが歩く速度とは違う一定のペースを保ち続けている、これもまたあたたかさといいたい。