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冷静と失禁のあいだ

死ぬまで踊り続けるマグロさんの話

アンダーグラウンド

そうなんです。わたしが、あの汚い、ゲロまみれの道路を歩いているとき、地面を見てもやっぱり吐しゃ物に、たばこの吸い殻、それも『わかば』とかそういうものが落ちている場所だけを見て、この街を見ているときに感じた。もうこの場所はどうしようもない、そう思ったときに、無関係なビルをふと眺めてみる。すると、高く、高くそびえ立つ、オシャレなビルや高級ホテルがあって、いくつかのあかりはちゃんと灯っている。ああ、今日、あの部屋には宿泊している人がいて、今日を高級ホテルで優雅に、最高に過ごして、ふかふかの柔らかいベッドで眠りにつくのだ、と、想像してみる。高速で移動するエレベーターには、かわいらしいドレスを身にまとった女性の姿が確認できた。

その瞬間、目が合わなくとも、わたしは地べたを這いずっているゴミになる。ゲロやたばこの吸い殻と大して変わらないし、あんな高い場所から見たら「人がごみのようだ」と言ってしまうことに、納得してしまう。だけど、きれいな夜景に溶けているわたし、吸い殻、ゴミに混じっているわたし、どれも、同時に成立している。

しかし、あのエレベーターに乗って上昇していく女性を見て、あのやけに洒落たビルがあることで、この世界は気持ちよく成り立っているのだと、なんとなくわかってきてしまったのだ。