冷静と失禁のあいだ

死ぬまで踊り続けるマグロさんの話

自販機セックス

どうやら、あの町の女の子は誰とでもセックスをしてしまう子らしい。そんな噂を隣の町から聞き付けた男がセックスのために女の子に会いに行きました。

男が女の子と約束を取り付け、待ち合わせ場所に向かうと、ビックリするほど美しい女の子が、ビックリするほど若くて美しい運転手の運転する車から下りてきました。

「初めまして、わたしは……」

白い髪、色素の薄い瞳、同じ人間とは思えない顔の作り、細くておれそうな体だけれど、胸の辺りで大きなカーブを描いていました。白いワンピースからは下着をつけていないのが透けてわかりました。

女の子が挨拶をするとすぐに男は我慢できなくなり、さっきまで女の子が乗っていた車の中に引っ張ってのし掛かるように押し倒しました。しかし、女の子は抵抗するわけでもなく、あっさりと体のなかに放たれた精を受け止めました。ぜえはあはあ、と男が息を切らしていると、女の子は何もなかったかのように、こんこんと咳払いをしてから喋り始めました。

「わたしは、宇宙人です。そしてこちらの運転手が私の息子です。」

男はもう一度運転手の顔をよく見ると、まだほんの10歳くらいの男の子であると気づきました。

「失礼ですが、旦那さんは……?」と、男が尋ねると、女の子はにっこりと笑って「あなただって私の旦那さんになったじゃないですか」と返事をしました。

「そんな!ただセックスをしただけですよ!結婚なんか……」

「セックスをしたじゃないですか。ねぇ、ほら、みてもう産まれたわよ」

そう言って女の子は股からするりと子供の頭を掴んで腹から引き出しました。勢いよく引っ張り出した弾みで、どろりとした血がピチャピチャと音をたてて、出てきた赤ん坊の体にベッタリと塗りたくられていました。

「旦那さんは、僕より前の、その運転手さんのパパはどこへ行ったんですか」

「彼は宇宙初外国人旦那として宇宙国へ連れて帰りました。この子は運転手ですが、一応さっき産んだ子です。あなたがくる10分前くらいかな」

「どういうことですか」

「私たちは宇宙人です。人間とは生きてる速度が違います。わたしの子宮に、宇宙国特製のスピードアップ機能を搭載しています。つまり、男が射精したらすぐに受精、赤ちゃんが出来てポロリと出てくるわけです。人間界でいうとおそらくお金をいれてからの飲み物を出す自販機の速度です。そして成長もすぐです。その子は産まれたばかりですが肉体はあと10分で10歳になります」

「そ、そんな、何のために……」

「セックスで侵略しようとすれば簡単です、日本くらいなら。わたしはこの後も男性との約束がありますので、失礼します。あなたももう私との宇宙国にある家に帰ってください。今日から宇宙国があなたの帰る家です、ダーリン。チュッ」 

そういって女の子は車から下りて、真っ白なワンピースの足元を真っ赤にしてフラフラとどこかへ歩いていってしまいました。

男の腕の中で、真っ赤な自分の赤子がすやすやと眠っていました。

そして、男と車に残された運転手はいつの間にか美しい青年に成長していました。男はその成長ぶりに安心して自分の家の最寄り駅の名前を運転手に伝えました。しかし、いくら待っても車は動き出しません。それどころか、運転手は首を傾げて、子供のような表情で「おぎゃあ」と言うだけでした。すると、男の腕の中にいる子は返事をするかのように「おぎゃおぎゃぎゃ」といいました。