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目は口ほどにピンボケ

うまくいかない。

また「落ち着きがないね」と言われてしまった。

人からは、わたしの目は必要以上にキョロキョロと動き回っているように見えるらしく、その事について再三に渡る注意を受けた。

人の目は怖い。目には口どころじゃない、思想までついてる。あいつは本当に喋るだけじゃ満足できないらしい。

くわえて、ふたたび、進路の事で家族と喧嘩した。

喧嘩のあとわたしは椅子に腰を掛けて、父のみている映画を一緒になってみた。もちろん一切のセリフは右から左へ左から右へ行ったり来たりしているだけで意味は追いついてこなかった。

映画の内容とは関係なく唐突に、喧嘩したことで感じた感情が突然溢れはじめて、それが涙になってポロポロ溢れた。「このシーンおもしろくてね」と父は私に話しかけた。わたしは涙をボロボロと流していたので返事をすることが出来ず、ただ頷くことしか出来なかった。

しかし、父も母も私の感情に気づくことはなかった。父と母は何事もないようにそのまま会話を発信し続けた。まるでテレビと会話をしているみたいだった。

 そうか、二人とも、もう目が悪いのだった。すでに私の姿がよく見えないのだ。