ズビャギンツェフの『ラブレス』映画感想メモ

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2本ほど映画を見た(劇場でみたもののみカウント。なんとなく、マイルールです)。ズビャギンツェフの新作、『ラブレス』と『スリービルボード』。

どちらも重く、傑作だった。ズビャギンツェフの方は、最近監督作品をようやく見終えたところなので、ちょうどいいタイミング。『裁かれるは善人のみ』と『父、帰る』が好きです。正直、甲乙つけがたいくらいどれも傑作なのですが、あえて挙げるならこのふたつが好き。ズビャギンツェフの何が好きかというと、いかにもセリフっぽい、物語を無理矢理動かすかのような露骨な会話を抜きにした映像美。ゆったりと流れるシーンが重なり合って、段々と見えてくる人間関係と物語。これは小説のようで、とても上品だ。小説には限界があるのではないかと思ってしまうほどに、ほんとうに小説なのだ。

扱っているテーマこそありふれたものかもしれないが、露骨ではないやり取りで、段々と見えてくる(ような)ぼんやりとした不安が、静かなロシアの田舎の風景とすごく相性がいい。このゆったりな重々しさは、華金や月曜日にふらっと見れるものではない。

しかし、ものすごいスピードをもってして情報が複雑になり、それに合わせて私たちも物事を一つ一つ受け止めて処理するスピードが上がっているのではないか、ということに、はっと気付く。本来ならば、物事は、このくらいの重さが、しんどさが、ぴったりなのだ、と。

さびれた地に、しんしんと降り積もる雪のように、静かに、そして気持ち悪いほど穏やかに、ありとあらゆることが重みを増してくる風景を思わせるように。