冷静と失禁のあいだ

夢日記と映画や本、美術展、エロゲの感想など。

迷える人を導く"物語" 『八本脚の蝶』が文庫版に

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大学生2年生くらの時だろうか、二階堂奥歯の『八本脚の蝶』を手に取ったのは。

 

当時のインターネットで、南条あやの『卒業式まで死にません』、山田花子の『自殺直前日記』といった作品が紹介された流れで気になった作品。

 

上記のタイトルをご存知の方には、どういった文脈で紹介されているか察しが付くと思うが、『八本脚の蝶』は、25歳という若さで、自らの意思基づき、亡くなった女性編集者のエッセイ集である。

 

調べればすぐ分かるが、国書刊行会の編集者だ。そしてタイトルで検索すれば、彼女のブログをネット上で読むことが出来るので、なんとなく内容が気になった方はまず検索してみても良いかも。

 

大変な読書家だったため、本書には幻想文学、SF、コミックなど幅広いジャンルの作品が取り上げられ、時にはエッセイ内で引用、紹介されている。なので、「最近読みたい本がない」といった迷える読書家さんたちにとって本書はたいへん良い読書案内にもなるに違いない。

 

あと、ほんのり自殺願望がある人にもぜひ手に取って欲しい。本への愛がひしひしと伝わって、まだ世界にはこんな魅力的な本があるのか、と思える。その他、ファッションやコスメ、ドールなど話題も豊富で、引っかかるものがきっとあるはず。エッセイの良い点は、自分以外の人間の、リアルな主観がそのまま書かれているので、生々しさに救われる所だ。

 

 

そして、ジュンク堂では表紙のカードが付いてくる。

万華鏡を覗き込むように、蝶をあしらい、さらに奥歯さんが好きだった作家、ボルヘスの『バベルの図書館』*1がモチーフになっているのかしら。とっても素敵、なによりも、愛がある。たいへん良い。タイトルが改行されているのが若干気になるけど(仕方ない)

*1:岩波文庫『伝奇集』に収録されているはず